2012年4月30日月曜日

娘の部活にまつわるセンセーショナルな出来事

Californian Blue

「担当楽器、弦バスに変わりました」

ん?・・・なんですと!?・・・
言ってる言葉の一つ一つがまったく意味を成さずに俺の上を通り過ぎて行くのだが・・・

娘が中学入学と同時に入部した吹奏楽部。
親子ともども相応の覚悟を持って、顧問に勧められるまま(凄く)高価なトランペットを購入して一年やってきた。

一年生ながらソロに大抜擢されたりもして、今後は後輩の指導もしつつトランペットパートのコアメンバーとして活躍していくのかと思っていたところ、弦バス(コントラバスやエレキベース)に担当替えだと?

まったく理解できないぞ。
いや、論理的に理解はしているのだが、心情的に理解を拒否している状態だったのだ。

一体どういう事なのだ?・・・





娘も今やティーンエージャーの端くれで、自我も確立しつつあり、昔のようにお気楽にブログネタにはできなくなってきている。
いや、書くなと言われたことは無いが、やはりそこは一人の独立した人格を認めるなら、親なんだからなんでも書いてイイって訳には行かないのだ。

しかし今回のセンセーショナルな事件は書かずにはいられない。
ブログトピックが不安や不満や憤りのはけ口になってしまうのは俺の信条に反するので、きっちり落ち着くまで書くのを控えていた。

そう、きっちり落ち着いた。昨日のことだ。

先に書いておくと、このトピックは不満や批判系のものではない。
きちんと顔を合わせて話をするのって大事だよなって話。

◇・──・◆・──・◇・──・◆・──・◇・──・◆・──・◇・──・◆・──・◇

娘が通う中学の吹奏楽部は、なかなかの演奏レベルだ。
ということは、娘がまだ小学生の頃からこのブログにもチラチラ書いて来た。

娘は小6での中学部活体験から一貫して吹奏楽部一本狙いで、中学入学時も迷わず吹奏楽部に入部した。
そして、親が呼ばれての、吹奏楽部の部活説明会。

「ほぼ毎日朝練で、土日も部活があります」
「エントリーモデルではなく、良い楽器を買ってください」
「高価な楽器を買う訳ですから、3年間続けられる人だけが入部してください」

以前トピックを書いた時は値段までは書かなかったが、この際ぶっちゃけよう。
娘のために買ったトランペットは、定価27万円。 値引きの上、小物その他で24万円だった。
初心者に24万円もの楽器を買うって考えられないでしょ。
感覚おかしいんじゃねえか? 公立なのに。 あ、公立だからこそ学校で楽器揃えられないのか・・・

やい!娘!俺が初めて手にしたギターなんか4千5百円だったんだぞ!

まぁそれでも、娘の熱意や心意気にほだされ、それが不可能ではない現状に感謝しつつ親子共々覚悟を決めた上での購入だった訳だ。
ま、後から娘もキープしていたお年玉貯金から1万円出したけどね。


娘は部活を言い訳に家の手伝いや勉強をおそろかにしないという約束をし、ついでにノリで「お小遣い要りません」まで言ったものの、そこまではしてないが、実は未だに小学生の頃と同額に甘んじている。(ちゃんと資料持ってきてプレゼンなり交渉なりすれば上げてやるのに)

カミさんはほぼ毎日朝練で早出の娘のために、早起きして弁当を作る。
時間のやりくり的に無理が出た家の手伝いは自動的に弟に負担が廻ることになる。
夏休みの予定が早く出ないと家族旅行の日程も立てにくい。

家族を巻き込んでの事なのだ。

そんなこんなも、演奏会での娘の活躍を見ればすべて報われる。
そのために手放しで応援しているのだ。

親の贔屓目かもしれないが、娘は何事にも一生懸命取り組んでいるように見えたし、
娘の語るところによれば、娘は吹奏楽部を愛していたし、なかなか高音が出せないという悩みを抱えつつもトランペットを愛していた。


そして2年生になった。

娘からも話に聞いていた、熱意の感じられないトランペットパートの男子が一人辞めることになった。
親も呼び出され、顧問との三者面談で決定したとのこと。

あぁ、なるほどな。そりゃ無理もない。

そして娘ともう一人のトランペットパートの子は担当替えとなった。

え?・・・ 何を?・・・・ 何が?・・・
俺の頭の中にカブトムシの幼虫が這いまわってるって話?違う?

宇宙に存在すると言われているダークマターの話の方がまだ理解できる。
超ひも理論の本を読んでもほとんど理解できなかったが、担当替え理論より理解できる。
俺は今まで「理解できない」という概念を理解してなかったのだな。では理解していると理解するということはどういう事なのだ?と哲学的思索に耽るくらい理解できない。


娘が、トランペットパートに残る同期の男子に担当替えの話をしたところ、彼は動揺のあまり泣きだしたそうだ。
きっと、これまでの一年間の事を思って感極まっちゃったんだろうな。ハハハ、良い奴だなー。
ちなみに彼は『火垂るの墓』を観て号泣したそうだ。
お父さんの影響で古い洋楽も良く知っていて、俺と気が合いそうなので一回ウチに呼べと言ってあるのだが、別に娘とはムフフな関係でもないようで、「何でだよ!呼ばねーよ!」と娘は取り合わない。


で、娘の話によると、
娘ともう一人の子は、思ったより高音が出せるようになってない。
このままトランペットを続けていても、コンクールには出られる可能性は低い。
なので、もっと自分を活かせる(であろう)別パートに移ってみてはどうか? とサジェストを受けたそうだ。

端的に言って「挫折」だ。一生懸命打ち込んで来た者にとっては、インパクトは小さくない。
しかしいくら一生懸命やっていても「結果」が伴わないことって厳然としてあるのだ。
それは直近の「結果」に繋がらなくても、いつかどこかで何らかの形で意味を持つことに繋がるんだから、意味が無いことではない。というより大切なことだ。

とは言え何しろ本人はショックだっただろう。迷いも葛藤もあったんだろう。
ついでに、1年生で見込みのある子が入って来たこともこの話に色を添えている。
結局娘は顧問のサジェストを受け、弦バスに移ることに決めた。

娘は速攻で事態を前向きに受け入れ、折り合って、落ち込む勢いを逆に廻してテンション上がり気味になっていた。
「別の楽器もできるなんてラッキーじゃね?」
俺もかなりなポジティブ派だが、お前もそーとーな強者だな。猛者だな。

しかし話の端々にショックや動揺の片鱗が見え隠れし、こっちもあまり突っ込めなくなってしまった。

娘が前向きに折り合って納得しているなら、それを支持し応援していくしかないだろう。
と、娘の思いを聞いて当初の動揺はいくばくか薄れたものの、それで心のもやもやが完全に晴れる訳ではなかった。

そんなにセンセーショナルでインパクトのあることを娘の口からしか聞いてないというのはどういう事だろう?
親にも覚悟を決めさせた顧問が、方針変更を親に相談も報告も無しというのは?
この1年が無駄になったとは決して思わないが、新たな楽器を始める分、2年生としてはハンディを負うことになる。
そのために、やっぱりコンクールには出られませんとか、思ったより上達しないので・・・とかで活躍できなかったら目も当てられない。
顧問や講師たちはこのハンディに対してどう対応して行くつもりなんだろう?

娘には「よし、分かった!」とは言ったものの、静かなわだかまりは晴れない。
事態を理解し、娘の話で概ね納得はしても、まだ少しのもやもやが残る。
どうしたものかと思っていたところ、カミさんが、ウチともう一人担当替えになったところと、みんなで学校行って、顧問の話を聞くってのはどうだろう?と。

ふむふむ・・・

子供のことで親が学校に押しかけるなんてのは、余程のことがない限り避けるべきだとは思っていたが、別にこれはクレームでもないし、ねじ込みでも泣き言言いに行くのでもなく、
ただ、これまでの経緯と今後について、直接話を聞きに行くということだ。
それが、俺やカミさん、そしてもう一人の家族に残っているもやもやを晴らすことに繋がるならそれも良いなぁと。

うん。そうしよう。
ただし、娘が、「恥ずかしいから」とかじゃなく、確固たる信念を持ってそれを自分の問題として反対するようなら、行くのは控えようと。
ま、その場合はカミさん、電話だけでも話は聞きたいってことで。

で、娘に話したところ、「別に、どっちでもいいんじゃね」と、予想通りの答えが帰って来たので行くことにした。

もう一人の方はというと、こちらは本人が頑強に反対し、行かないことになった。
お母さんは行きたがっていたので、ちょっと残念。



そしてカミさんが電話でアポを取り付け、昨日の日曜日、朝8時半過ぎ。カミさんと二人して学校へ向かった。

カミさんがいきなり職員室へカチコミを入れる。
(ガラガラっ!ぴしゃっ!)「コルラァ~!顧問!出て来いや~!」
俺はすかさず傍にあった消火器を手に取り、叫びながら振り回し、手当たり次第に破壊しまくった上、中身を放出。
カミさんは散乱したボールペンを手裏剣にして抵抗する教員たちを無力化。
職員室内は一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。

なんてウソウソ。(誰も信じてねーよ!)
当事者はモヤモヤしていても至って冷静。


校内放送で顧問の先生を呼び出して貰うと、待つほどもなく降りてきた。
少し遅れて降りてきた娘は、左右の上履きの色が違っていた。
良く見たら左右とも別の人の上履きだった。

楽しそうでイイな~。


そして別室へ。

型通りの挨拶と、来訪の趣旨を軽く説明し、後はカミさんが引き取って対話に入った。
俺は思う所でちょいちょいチャチャ入れする感じ。

そして顧問の先生からは、

・来訪についての謝意
・詳細な経緯と現況
・見込みを誤ったことに対する責任の弁と謝罪
・連絡しなかったことに関する謝罪と反省
・今後の方針
・こちらからのサジェスト(余計なお世話)に関する謝意

などをいただいた。

何のことはない。必要なのは対話だよな。
娘の話だけでは不明だった微妙なところがクリアになり、謝罪や方針表明を受けて、俺たちの心も完全にクリアになった。

スカされた感から手放しで応援する気持ちに対するモチベーションも下がっていたが、これも復旧。

もう一人の子のお母さんも、もしこの場に居ればスッキリしただろうと思うと非常に残念。
きっと娘さんはお母さんが学校にカチコミ入れに行くと思ったんだろう。

エキサイトするでもなく、終始穏やかに和やかに会談は進み、お互い礼を言って最後を〆た。


コンクール云々に関しては、例えばこのままトランペットを続けていて、コンクール前のオーディションで落とされてステージに上がれなかった場合、むしろその方が子も親もスッキリ納得できるとは思った。
最善を尽くして散るのならそれはそれでね。
しかし、敢えてもっと見込みのある(と思われる)楽器への担当替えは、先生も苦慮した上での配慮なのだろうとは思っていたが、案の定そういうことだった。

見込みの無い子には辞めて貰ったが、娘やもう一人の子は、下唇を制御する表情筋のポテンシャルが低いという機能上の問題があるだけで、真面目に取り組んでいるし、楽譜は読めるし、音楽的センスも悪くないし(なんて言われて単純に喜んでる俺)、であれば活躍できる場を他に、、、ということだった。



◇・──・◆・──・◇・──・◆・──・◇・──・◆・──・◇・──・◆・──・◇



wikipediaより
さてと、、、
弦バスか~。

俺は昔、バンドで、本職はギターながらベースをやっていた期間も長い。
また、前にもトピックに書いたことがあるが、コントラバスの地味ながら存在感たっぷりなところも大好きだ。

吹奏楽部の演奏会でも、全然知らない子なのにコンバスは写真に撮ったりしていた。

ちなみに、この前、『題名のない音楽会』でコンバス特集をしていたのだが、色んなオーケストラのコンバスプレイヤーたちへのアンケートで、コンバスプレイヤーになったきっかけは?の答えの7割が吹奏楽部でコンバス担当だったってことだった。
へぇ~~~。
ただ、吹奏楽部でコンバス担当した人たちのうちの何%がオーケストラのコンバスプレイヤーになるのかは不明。

あれ?待てよ・・・ コンバス弾きって何イスト? コントラバシスト? 聞いたこと無い。 あー、コントラベーシストか? 単にベーシストかな?


そんなこんなで、実の所、娘の弦バス担当は嬉しくもある。
しかしなぁ、今は3年生の先輩が弦バスやってる訳だから、やっぱ今度のコンクールは出られないんじゃねえか?
晴れ舞台はいつの日になるだろな。

「いや、出られんじゃね? てか、出るし」

我が娘のポジティブ感の突き抜けっぷりったら、カリフォルニアの空の青さ並みだ。


コンバスは学校にあるものを使うが、エレキベースは自前らしい。
またか!・・・

「お父様、ではエレキベースは貸していただけますか?」と顧問に聞かれたのだが、ベースはと~っくの昔に手放している。

どうするか悩む。
娘にベースを買ってやるのか?
はたまた、、、俺のベースを買って、娘に貸してやるってことにするか?

「俺のベース」? フフフフフ・・・・

ヤバいで~! 誰か、このおっさん止めてぇ~~~!

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